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乳がんセミナー 【講演録 3-4】

公益事業

海瀨博史先生
「乳がん検診・診断・治療~正しい情報を正しく知るために氾濫する情報から身を守る」講演録

5.乳がんの確定診断

乳がんの確定診断

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 画像診断で乳がんが疑われた時、すぐ手術なのか、という質問に対してお話しします。マンモグラフィの画像だけでは最終診断ではないので、確定診断をしなければなりません。
 既に乳がんの治療をされた方であれば、乳房に針を刺す検査を受けられたと思います。細い針だったり、太い針だったりします。この場合は太い針を使った針生検(はりせいけん)といって、組織を取るタイプで、これが必要です。採取した組織を顕微鏡で見てがんがある、ということを確認して初めて確定診断が出されます。ですから、画像診断だけですぐ手術と言われたら、「ちょっと待てよ、施設を変えたほうがいいかしら」と思っていたほうがいいかもしれません。通常はここまで検査しなければ手術には踏み切りません。

乳がんのサブタイプ分類

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 生検は、確定診断目的であることはもちろんですが、乳がんの薬物治療に最も必要な要素、主にエストロゲン(ホルモンレセプター:女性ホルモンに関する受容体)とハーツーを調べることが重要で、治療に直結します。
 生検によって乳がんのサブタイプ分類をして主に4つのタイプで、治療の戦略を決めています。


6.治療について~手術・薬物療法・放射線療法

手術と薬物療法

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世界の乳がん治療

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1)手術について
乳がん治療の昔
 全身麻酔の乳がんの手術は、1804年に日本人が初めて行いました。花岡青洲です。世界の乳がん治療で標準治療になったのが、ハルステッドの手術です。ハルステッドが手術方法を確立したのは1882年でした。
 この時代は触って見て明らかにがんとわかる部位を手術しているわけで、早期がんではありません。そのため、局所コントロールをどうするかが課題でした。ハルステッドさんは病巣を大きく切除して、局所再発率82%から56%を6%に抑えました。生存率は薬物療法が進歩してから改善します。

患者にやさしい手術へ進化

乳がん手術法の変遷

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 当時は大きな手術でしたが、現在の手術はどんどん縮小してきています。臨床試験を数多く重ねて、現在の手術は、患者さんに浸襲の少ない優しい手術に進化してきています。
 どう変わったかというと、1986年、筋肉を残す方法(胸筋温存乳房切除術)が増加し、筋肉を全部取ってしまうハルステッド手術を上回ります。乳房温存手術が始まり、胸筋温存乳房切除術の件数に追いつき、追い越して、今は大体6割を占めています。筋肉を全部取ってしまうハルステッドの手術は、今はほとんど行われません。


乳がん手術はどんどん縮小へ
 乳房切除は乳房を全部切除する方法で、部分切除はある程度がんの周りの正常乳腺を一緒に取る手術です。2006年に乳房温存手術が約6割となり、その後横ばいです。メリットは、筋肉を取らなくなったことです。昔は取っていましたが、乳房温存術が確立し、リンパ節も、転移がない人には、1個か2個取るぐらいの処置で済んでしまうという方法を行っています。センチネルリンパ節生検については後述します。

胸筋温存乳房切除術

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円状部分切除術

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乳がん手術、変化のポイント

乳がん手術はどんどん縮小へ 変化のポイント

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 乳房温存の手術は、放射線治療もセットと思っていてください。乳房温存療法といって、乳房温存手術でがんを切除し、放射線治療で残った微小がんを退治します。
 放射線治療は、肺、心臓、反対側の乳房を避けて照射が行われます。非常に安全な治療法ですので、被ばくは考えずに治療を受けるべきです。


乳房温存療法とは

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放射線療法

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乳房再建術は標準手術になりつつある

手術が進化して

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 2年前に、人工乳房の保険適用が拡大されました。エキスパンダーといって一時的に膨らます物を入れて、最終的にインプラントに入れかえる手術をします。手術は2回に増えますが、人工乳房で術後はきれいになります。
 また、人工物のほかには自家組織、自分の筋肉とか脂肪を使って再建が行われます。


センチネルリンパ節生検

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リンパ節に対する新しい治療法
 センチネルリンパ節生検は、多数あるリンパ節の中からピンポイントでリンパ節を検査します。ムダにリンパ節をとらずにすむため、リンパ浮腫などの合併症が減ります。

2)乳がんの薬物療法
乳がん治療は、オーダーメイド治療
 乳がんの薬物治療は、一律に化学療法というわけではありません。薬物療法は目覚ましく進歩し、先ほどの、4つに分ける分類で治療方法、お薬が決まる、オーダーメイド治療になっています。ガイドラインの標準治療の説明をご覧下さい。

実際にどのようにして治療法を決めるのか

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乳がん薬物療法

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