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緊急時の食品・水試料の放射能検査について

トピックス : 室内環境検査

財団法人東京顕微鏡院 食と環境の科学センター
日本橋研究所所長  安田 和男

平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震の影響による原子力発電所の事故により、日本から輸出される食品等について放射性物質に関する検査を要求する国が多く出てきている。国内においても、生鮮農産物、魚介類、水、空気、土壌などについて放射能測定の必要性がにわかに高まった。
 
3月17日、厚生労働省は全国自治体に対し、「放射能汚染された食品の取り扱いについて」(食安発0317第3号)を発出した。これにより当分の間、原子力安全委員会により示された指標値を暫定規制値とし、これを上回る食品は、食品衛生法第6条第2号(有毒・有害な物質が含まれる食品等の販売等の禁止)に該当するものとして、販売等について処置が行われることとなった。実際、これに基づきホウレンソウ、パセリ、ブロッコリー、ウメ、しいたけ、ヤマメ、イカナゴなどに対し、出荷制限、摂取制限の指示や解除が行われている。

放射能検査の方法

検査にあたっては、平成14年5月9日付け事務連絡「緊急時における食品の放射能測定マニュアルについて」を参照して、実施することとしている。
 
このマニュアルでは、今回のような緊急事態発生時に野菜類、果実類、穀類、海草類、魚介類、乳類などの食品の測定を迅速に行うために、NaI(T1)(ヨウ化ナトリウム(タリウム))シンチレーションサーベメーターを用いる簡易測定法及びゲルマニウム半導体検出器を用いる精密分析法が示されている。検査対象核種は、過去の原子力発電所の事故の知見から、食品汚染が懸念される131I(ヨウ素)、137Cs(セシウム)、134Csとなっている。これらは、比較的短時間に測定でき、これまでの放射性物質による災害時の測定データも多い。
 

測定操作の概要

ここでは、放射性ヨウ素や放射性セシウム等のγ線放出核種の分別測定に有効で、γ線のエネルギー分解能の優れたゲルマニウム半導体検出器を用いたγ線スペクトロメトリーによる食品及び水試料の測定について概説する。
 
検査の実施にあたって、厚生労働省は、野菜等の試料に付着した土やほこり等の洗浄除去について、標準作業書を作成した。すなわち、葉やひげ根、へた等を除去した野菜類等の測定部位を、水道水の流水下で、20秒程度洗浄し、付着した水はペーパータオルにより軽く拭き取るとしている。
この前処理を行った試料について以下のように操作し、測定を行う。
粉末状食品や水試料はそのまま、農産物などの固体試料は重量測定後、マリネリ容器(2L)に均一に充てんできるように、あらかじめ包丁、はさみ、カッターなどで細切する。これをポリエチレン袋に詰め、容器の形状に合わせて隙間のないように袋のシワをできるだけ少なくして入れ込み、蓋をする。容器底部の凹部に円筒状の検出器エンドキャップを密着させ、1000秒間測定する。検出器は外部からの放射線による妨害を防ぐため、鉛製の遮蔽体に囲まれている。
 
測定後、試料のスペクトルデータについて解析プログラムにより解析し、検出した核種、放射能濃度等の結果を得る。検出限界は、通常10Bq/kg である。
放射能測定では、検査室内環境、測定者、使用器具などからの汚染は、バックグラウンドの測定値に影響するため、手袋、マスク、白衣の着用、ラップやポリエチレン袋での包装など防除のための準備、対策が重要である。
 
原発事故の処置が未だ終結しないことや、核種によっては半減期が長期に渡るものがあることから、今後も放射性物質に関する情報に注視していくことが大切である。

 

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