レジオネラ属菌の性状について

レジオネラ属菌は好気性のグラム陰性の桿菌で、1~2本の極毛で運動し、アメーバ細胞内では2時間ごとに分裂し、増殖します。24時間経過すると基の菌数の1,000倍にも達するのです。

レジオネラ症を未然に防ぐには、レジオネラ属菌の性状を知ることが大切です。レジオネラの最も代表的な菌種はLegionella pneumophilaで、Legionが在郷軍人、pneumophilaが肺炎の意味です。長さ2~20ミクロン、幅0.3~0.9ミクロンの細菌で、水環境を中心とした生活環境に存在し、自然界に広く生息しています。繁殖温度は20~45℃の範囲で、ヒトの体温程度が至適温度です。

レジオネラ属菌の最も大きい特徴は、細胞内増殖菌と言われ、自然界においてはアメーバ(原生動物)内、ヒトでは白血球(マクロファージ)内で増殖します。ヒトに感染する経路はエアロゾルによる空気感染(飛沫感染)です。ヒトが吸入可能なエアロゾルの粒径は2~5ミクロンで、落下速度が遅く長い間空中に滞留し、ヒトに吸入される危険性が大きくなるのです。

レジオネラ症は1976年、アメリカのフィラデルフィアのホテルで在郷軍人会に参加した人々が発症しました。原因は冷却水がキャリーオーバ等となりエアロゾル化し、空調機の外気取入口からホテルの各客室や周辺に飛沫し、221人が罹患、29人が死亡したのが発端でした。

現在、レジオネラ症には「レジオネラ肺炎」と「ポンティアック熱」の病型があります。患者の性比はおおむね3:1で、何故か男性側に偏っていますが理由はわかりません。肺炎で死亡する人の5~15%はレジオネラ肺炎ではないかとも言われています。患者は50~60歳代にピークがあり、医療機関への受診が遅れたり、有効な抗生物質が間に合わないと60~70%と死亡率が急上昇します。

症状は風邪と似ています。有効抗菌薬はマクロライド系・ニューキノロン系でペニシリン系やセフェム系は無効です。発病前2週間の旅行歴がないかなどが診断の参考となり、特に入浴施設の利用歴も問診には欠かすことはできません。

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