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食品中のアレルギー物質とその表示

トピックス : 食品等の検査

財団法人東京顕微鏡院 食と環境の科学センター
日本橋研究所所長 安田和男

食物アレルギーの原因

近年、乳幼児から成人に至るまで食物アレルギー症状を引き起こす人が増加しています。食物アレルギーとは、身体が食品中に含まれる特定のタンパク質(アレルゲン)を異物と認識し、それを排除しようとした際に過剰な反応がおき、自分自身を痛めつけてしまうものです。

食物アレルギーは、人によっては食品中に微量に含まれるアレルゲンを摂取しても発症する恐れがあり、「じんま疹・湿疹」などの皮膚症状、「下痢・嘔吐・腹痛」などの消化器症状、「咳・喘鳴・呼吸困難」などの呼吸器症状、鼻・目粘膜症状などが現れます。症状が重いアナフェラキシーショックを引き起こすこともあり、呼吸困難や血圧低下、意識消失などの症状が現れ、対応の遅れから死に到る事故も起きています。

厚生労働科学研究報告書(平成17年度)では、食物アレルギー発症事例に占める原因食物の割合(%)は、鶏卵38.3、乳製品15.9、小麦8.0、果実類5.8、そば4.6、魚類4.4、えび4.1、ピーナッツ2.9などとなっています。

食物アレルギー物質の表示

こうした食物アレルギーの発症を防ぐには、原因となる食品原材料の摂取を避け、アレルゲンを取り込まないことが重要です。しかし、食品製造の現場では、原材料や製造工程の管理が不十分であった場合、製品にアレルゲンが混入する可能性があります。

そのため、食物アレルギーを有する消費者の危害を未然に防ぐ目的で、商品選択の際の判断材料となる情報提供として表示をすることの必要性が高まりました。そこで、厚生労働省は、食品衛生法に基づき平成14年から、製造・加工・輸入された加工食品に、アレルギー症状を引き起こす物質である食品原材料の表示を義務づけました。

表示には、アレルギー物質を原材料名の最後に表示する方法、個別の原材料の後に括弧書きで表示する方法が認められています。「○○が入っているかもしれません」などの可能性表示は認められておらず、食物アレルギー物質が混入すると想定される時は、欄外に注意喚起をすることが望ましいとされています。

表示の例

■ アレルギー物質を原材料名の最後に表示する
例) 「原材料の一部にそばを含む」、「牛肉由来原材料を含む」

■ 個別の原材料の後に( )書きで表示する
例) 「ハム(卵・豚を含む)」

■ 食物アレルギー物質が混入されると想定される場合(欄外に記載)
例) 「本品製造工程では小麦を含む製品を生産しています。」
   「本製品で使用しているイトヨリダイはえびを食べています。」
   「本製品で使用しているしらすは、かにが混ざる漁法で採取しています。」

表示の対象となる食品原材料は、発症頻度や症状の重篤度が高いことから、表示が義務付けられる「特定原材料」及び、症例数や重篤例が少ないことから、表示が推奨される「特定原材料に準ずるもの」に分けられています。しかし、せんべいに卵および乳の表示が欠落したことにより、男児がアレルギー症状を起こし、製品の自主回収に至った事件もありました。菓子に小麦粉の表示をしなかったため、子供が発症し、販売店が営業停止になった事例もあります。

表示対象品目は実態調査や科学的研究の結果により見直され、平成16年にはバナナが特定原材料に準ずるものに追加、また、えび・かには、症例数が多いことなどから、平成20年6月に特定原材料に準ずるものから特定原材料へと改正されました。

表示の対象となる食品原材料

■ 特定原材料:表示が義務付けられているもの(7品目)
卵・乳・小麦・えび・かに・そば・落花生

■ 特定原材料に準ずるもの:表示が推奨されているもの(18品目) 
あわび・いか・いくら・オレンジ・キウイフルーツ・牛肉・くるみ・さけ・さば・大豆・鶏肉・バナナ・豚肉・まつたけ・もも・やまいも・りんご・ゼラチン

アレルギー物質を含む食品の検査法

食物アレルギーによる事故を最小限に抑えるには、単に対象となる食品原材料を表示するだけではなく、科学的な検出法により表示が適正であるかを確認することが必要です。検査法は厚生労働省から特定原材料7品目について通知されています。7品目の特定原材料由来タンパク質を定量的に検出する方法としては、抗原抗体反応を利用するELISA法が定められています。

また、卵や乳ではウエスタンブロット法によりそれら由来の特異的なタンパク質を確認することができ、小麦、そば、落花生では、遺伝子増幅法(PCR法)により、特異的な遺伝子を確認することができます。食品1gあたりの特定原材料等由来のタンパク質含量が10μg以上の試料については、特定原材料が混入しているとして陽性と判断されます。行政的にはさらに、これらの検査結果と食品製造メーカーの製造記録を調査して、表示が適切かどうかが判断されています。
 
当法人では、タンパク質の定量が可能なELISA法により、食品に表示が義務付けられている特定原材料7品目(卵・乳・小麦・そば・落花生・えび・かに)について、検査の受託を行っています

 


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