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遠山椿吉記念 第2回 健康予防医療賞 授賞式

過去の受賞者

平成24年2月7日(火)、ホテルメトロポリタンエドモントにて「遠山椿吉記念 第2回 健康予防医療賞 授賞式」が開催されました。

この賞は、当財団の創業者で初代院長である医学博士、遠山椿吉の公衆衛生向上と予防医療の分野における業績を記念して平成20年に創設した顕彰制度です。

公衆衛生の領域において、ひとびとの危険を除き、命を守るために、先駆的かつグローバルな視点で優秀な業績をあげた個人または研究グループを表彰するものと位置づけています。

平成23年度は「健康予防医療賞」において、将来の予防医療のテーマに先見的に着手したものを重点課題としました。

白木先生に授与
「遠山椿吉記念 第2回 健康予防医療賞」
を白木正孝氏(左)に授与
 右は当財団・医療法人の山田匡通理事長

 

 

 

清原先生に授与
「遠山椿吉記念 第2回 健康予防医療賞 特別記念賞」
を清原裕氏(左)に授与

 「遠山椿吉記念 第2回 健康予防医療賞」は『「骨粗鬆症診療体制の確立にむけての臨床疫学コホートの構築(Nagano Cohort研究)」』というテーマで白木正孝氏(成人病診療研究所 所長)が受賞しました。

また、久山町研究グループ (代表:清原 裕氏 九州大学大学院医学研究院環境医学分野教授)の『生活習慣病の時代的変遷およびその現状と課題に関する疫学調査(久山町研究)』につきましては、「遠山椿吉記念 第2回 健康予防医療賞 特別記念賞」を受賞しました。これは、50年間継続した非常に貢献度の高い研究で、久山町研究50周年と当財団の120周年を記念して特別に設けたものです。

祝辞を述べる山田匡通理事長

授賞式ではまず、当財団の高橋利之副理事長・当医療法人理事が公益事業担当理事を代行して開式の辞を述べ、選考委員長の折茂肇氏(健康科学大学前学長)による選考の経緯および講評と受賞者の紹介がありました。

続いて、当財団および医療法人の山田匡通理事長から白木氏に「遠山椿吉記念 第2回 健康予防医療賞」、清原氏に「遠山椿吉記念 第2回 健康予防医療賞 特別記念賞」が授与されました。

山田匡通理事長は、白木先生のご研究について、「患者の集団を大規模なコホートに構成していくというのは、今までなかった研究ということであり、自分の病院を経営しながら個人で約20年追究してこられた点は、遠山椿吉博士の精神をまさに実行してこられたと考えます」と述べ、久山町グループのご研究については、「久山町という町全体がいわば九州大学の医学部と一緒になって50年間続けてきた世界的に類を見ない研究」と深い敬意を表し、「今回、表彰いたしました二つの研究は、当財団創立120周年記念の年にふさわしい研究であったと思います。お二人の先生方のますますのご活躍、ここにおられる皆さまのご健勝を祈念いたしまして、私のごあいさつとさせていただきます」と 結びました。

山田理事長による祝辞の後、来賓として川崎医科大学の福永仁夫学長が祝辞を述べ、それに応えて白木氏と清原氏からそれぞれ、受賞についての挨拶があり、授賞式は終了しました。

白木先生記念講演
白木氏による記念講演
清原先生記念講演
清原氏による記念講演

 続いて、高築勝義当医療法人名誉所長の司会により行われた白木氏、清原氏による受賞記念講演会には、およそ130名の参列者が熱心に聴き入りました。

記念講演の聴衆
迫力ある記念講演に熱心に聞き入る皆さん

講演会終了後、受賞記念レセプションでは、今回の選考委員の方々のご紹介に続き、当医療法人統括所長、及川孝光のごあいさつ、常務理事太田千代次の発声で乾杯が行われました。参加者は大いに交流を深め、レセプションは盛況のうちに終了しました。

レセプション風景
レセプション会場にて
及川統括所長による
レセプションあいさつ
太田常務理事の
発声による乾杯

 

授賞式祝辞、受賞者あいさつ

理事長あいさつ

理事長あいさつ山田 匡通  / 当財団・医療法人 理事長

みなさま、財団法人東京顕微鏡院および、当財団をルーツとする医療法人社団こころとからだの元氣プラザ両法人を代表し、遠山椿吉賞授賞に際して、お祝いのご挨拶を申し上げます。

このたび、骨粗鬆症の診療体制の確立に向けて、開業医として患者に寄り添いながら臨床コホート研究を続けたご功績が高く評価され、白木正孝先生が「遠山椿吉記念 第2回 健康予防医療賞」を受賞されました。また、生活習慣病の疫学調査、久山町研究グループ代表清原裕先生のご功績を顕彰するにあたっては、久山町研究50周年と当財団・医療法人120周年を記念して「特別記念賞」を特設し、表彰することとしました。こころより、お祝い申し上げます。

遠山椿吉賞は、当財団創業者で医学博士、遠山椿吉の公衆衛生向上と予防医療推進における業績を記念し、その生誕150年、没後80年にあたる平成20年度に創設した顕彰制度です。日本の公衆衛生において、人びとの危険を除き、いのちを守るために、先駆的かつグローバルな視点で優れた業績をあげた個人または研究グループを顕彰するものと位置づけています。

120年前の明治24(1891)年4月1日、遠山博士は、顕微鏡検査所を二人の方と共に創業しました。当時国民病、死病と恐れられた結核に対して、「社会の為、学術を応用して正確な早期診断のもとに開業医の治療を助け、人びとの命を救いたい」と、6畳ほどの部屋に1台の顕微鏡を置いて小さな一歩を踏み出しました。34歳の遠山博士に対し、陸軍軍医総監の石黒忠悳、海軍軍医総監で成医会(後の東京慈恵会医科大学)を創設した高木兼寛、東京医学校(東大)校長を兼務し、内務省衛生局初代局長として近代日本の衛生行政の基礎を築いた長与専斎など10名が、賛同者としてその活動を支援しました。翌年、東京顕微鏡院と改称して事業を展開し、遠山博士が71歳で没する前年の昭和2年に財団法人の認可を得、今日に至っております。

遠山博士は、東京市初代衛生試験所長という公職を長年にわたり兼務して、命を守る安全な水道水を実現に導き、健康診査・予防医療の先駆者、実践者として、結核予防や、当時多数の死者を出した脚気病原因の研究と創薬などに貢献しました。人びとの苦しみを少なくしようと、科学的データから原因解明に挑んで予防に取組み、教育者としても医療技術者の育成や市民の啓発に情熱を傾けた生涯でした。

そこで、その生き方を尊重し、『公衆衛生向上をはかる創造性』があること、臨床現場での『予防医療の実践』に結びついていること、『これからの人の育成』につながっていることを遠山賞の選考のポイントとして重要視しています。

120年を経て、現代に生きる私たちもまた、遠山博士が追求してやまない「健康ないのち」という高い目標を目指して歩みを続けています。このたび授賞された、白木正孝先生、久山町研究グループ代表清原裕先生のますますのご活躍と、わが国の公衆衛生、予防医療分野の発展と、皆様のご健康、お幸せを心より祈念し、結びの言葉とさせていただきます。

選考委員長による選考経緯の説明と講評

選考委員長説明折茂 肇 / 選考委員長

選考委員長を申し付かりました、折茂肇でございます。それでは、選考までの経緯と、選考委員会の講評を申し上げます。

このたびの「遠山椿吉記念 第2回 健康予防医療賞」では、重点課題を「将来の予防医療のテーマに先見的に着手したもの」として、具体的には、「近い将来の健康診査の方法論を変えるようなもの」「健康診査の受診機会を高め、医療経済面での効果がみられ、健康診査の精度向上に資するもの」「こころの健康づくりおよび、これに関する科学者によるスピリチュアル分野における研究」「性差医療に関するもの」などを取り上げ、幅広い分野の研究者に対して応募、推薦が呼びかけられました。

選考の過程を申し上げます。

6月30日の締切までに、66の学会が遠山賞の募集告知を報道し、日本医事新報を始め4誌で遠山賞募集が広告掲載され、15件の応募がありました。

7~8月に一次審査を行い、9月8日に選考委員会を開催し、その選考委員会の推薦を受けて、9月30日、主催者の経営会議に選考委員長である私が参加し、選考の経緯等を説明したうえで、受賞者が決定致しました。

次にその詳細を申し上げます。

まず、一次審査では、選考委員長を含めて7名の選考委員が、それぞれ個別に、15件すべての応募論文に目を通し、それぞれの評価を審査票に記載して事務局へ送付しました。

なお、審査票には、「遠山賞の趣旨と選考基準となる物差し」に関する説明資料を添えて注意を喚起しました。

ホームページでも公開されておりますが、この賞は、遠山椿吉博士の生き方を尊重し、(1)公衆衛生への貢献度、(2)公衆衛生向上を図る創造性、(3)予防医療の実践、(4)これからの人の育成につながることを、4つの評価軸としております。これを5段階評価し、総合評価ともいうべき「推薦したいテーマと思うか」という問いにYes/Noを回答し、自由記載欄にコメントを記載するように致しました。 

総合評価が拮抗する場合には、第1回遠山賞選考委員会において合意された観点に立って、十分に意見を交わし、吟味することとしました。どのような観点かと申しますと、

  • 今まで賞を取るなどの評価はされていないが、非常に優れた研究成果を通して公衆衛生向上に大きく貢献したこと。
  • 研究費に恵まれなかったにも拘わらず、非常に優れた研究成果を通して公衆衛生向上に大きく貢献したこと。
  • 公的な援助がなく、経済的自立を図りながら、優れた研究成果を通して公衆衛生向上に大きく貢献したこと。

という3点でございます。

7名の選考委員によって審査された15名分の評価票は、事務局ですべて集計し、その集計資料は、選考委員会を開催する前に各選考委員に返送し、あらかじめよく読んで、委員会当日に臨むこととしました。

選考委員会では、審査票の集計資料を吟味した結果、委員全員の総意として総合評価において上位から3件の研究テーマを選び、集中審議することといたしました。一つひとつが優れたご業績であり、そのなかから1名を選出することは極めて難しい作業でありました。そこで、進めるにあたっては、本賞の趣旨と今年の重点課題を今一度確認し、一定の選考のフィロソフィーに従って選考を進め、受賞者を選んだわけでございます。

白木正孝先生のご研究は、開業医による骨粗鬆症のご研究です。委員会では、この研究には独創性があり、長野コホートにおける骨粗鬆症のリスクファクターの解析、各種治療薬の開発、医師主導型の臨床研究による骨粗鬆症併用療法の有用性を証明したなど、先見的に着手してこられた研究成果が、現代の予防医療に生かされている点に高い評価が集まりました。

最も評価された点は、白木先生が開業医として患者に寄り添い、外来診療や往診に多忙な日々を送りつつ、開業医仲間に声をかけて臨床研究を進め、事務局をも務めて研究実績を挙げた点や、東大グループとの共同で骨粗鬆症に関連する遺伝子の解析などを行なった点であります。安曇野で開業しながらも研究を重ねて多数の論文発表を行い、優れた研究実績をあげて臨床現場に生かしておられるということから、選考委員会は、このたびの受賞に最もふさわしいという、一致した意見となりました。

久山町研究グループの50年にわたるご研究は、これまでどうして受賞歴がないか、疑問の声が上がるほど、わが国のみならず国際的にも、その重要な功績がよく知られた疫学研究であります。委員会では、疾患コホート研究がなかった時代に、住民の生活習慣病健診を重ねて死後は剖検で死因を確認するという、他に類を見ない臨床疫学研究を50年間も継続したのみならず、常に新しいご研究にチャレンジし続けていることが高く評価されました。特に、最近の10年間のご業績は、非常に優れたものであると世界的に多大な評価を受けています。

遠山椿吉賞は、本賞一名を顕彰することになっておりますが、久山町研究は、今回の一次審査で最高得点を獲得していること、久山町研究として受賞歴のないこと、50年間継続した非常に貢献度の高い研究で公衆衛生の向上に、地道に貢献してこられたことに深い敬意を表し、特別賞を設けて顕彰すべきであるという結論に達しました。また、特別賞の額を本賞と同額とすることを選考委員会の総意として希望したところ、今回、主催者のご英断により、久山町研究50周年と主催者である財団法人東京顕微鏡院の120周年を記念して「特別記念賞」を設け、特別記念賞及び副賞百万円を、久山町研究グループを代表して清原裕先生にお贈りすることとなりました。

白木正孝先生、また、久山町研究グループ 代表の清原裕先生の受賞に、こころより、お祝い申し上げます。

選考委員長として、選考の過程を振り返りますと、この遠山椿吉賞の存在と意義を強く感じる次第であります。このような賞はこれまでなかったのではないでしょうか。

百二十年前の明治24年4月1日、顕微鏡検査所を二人の方と共に創業した遠山博士は、当時死病と恐れられた結核に対して、「社会の為、学術を応用して、正確な早期診断のもとに人びとの命を救いたい」と、6畳ほどの部屋に1台の顕微鏡を置いて小さな一歩を踏み出したということです。34歳の遠山博士に対し、陸軍軍医総監の 石黒忠悳(いしぐろただのり)氏、海軍軍医総監で成医会(後の東京慈恵会医科大学)を創設した高木兼寛(たかぎかねひろ)氏、内務省衛生局初代局長として近代日本の衛生行政の基礎を築いた長与専斎(ながよせんさい)氏など10名の方が、賛同者としてその活動を支援した、と記録にあります。翌年、東京顕微鏡院と改称して公衆衛生向上に関する事業を展開し、遠山博士が71歳で亡くなる前年の昭和2年に財団法人の認可を得て、今日に至っているということであります。

公衆衛生や予防医療を向上するには、個人個人の先見的な発想力や社会的使命に基づく地道な研究が必要ですが、この分野に於いてはその重要性にも拘わらず、研究者個人に光があたることが少ないのが現状ではないかと思います。この遠山椿吉賞が、今後とも多くの優れた研究者の業績に光をあて、その業績を公に称えることで、次世代を担う後進の育成にもつながることを期待する次第であります。

最後になりますが、ご多忙にもかかわらず、選考委員をおつとめいただいた先生方の多大なるご協力に感謝いたします。更に、この顕彰制度を創設された財団法人東京顕微鏡院と、医療法人社団こころとからだの元氣プラザの創立120周年をお祝いするとともに、ますますのご発展をお祈りして、結びの言葉とさせていただきます。

授賞式来賓祝辞

来賓祝辞福永 仁夫 / 川崎医科大学 学長

白木正孝先生、そして久山町研究グループ代表の清原裕先生、本日の受賞、誠におめでとうございます。私が祝辞を申し上げますのは、白木先生とほぼ同世代でありまして、先生が東京都老人医療センター、前身の養育院の内分泌の研究グループにおられたころから、約40年近く先生の研究内容を承知しているためと思います。そして、清原先生の久山町グループの研究は、私は内科医ではありませんが、部外者からも非常に立派な研究をされていることを承知しております。

そして本日のお二人は、それぞれコホートは違いますが、白木先生は長野県の患者集団Nagano cohort、そして清原先生は九州大学医学部内科学教室の久山町の地域住民でありますが、それぞれ長年にわたり研究を継続され、緻密な解析、そして、それを臨床に生かす試みをされております。現代の医学・医療の研究は、絶えず分化と融合あるいは統合を繰り返しています。さらに基礎医学はその成果を臨床医学に還元します。また、臨床疫学の成果も患者さんに還元されます。お二人の先生方の研究はこれら3つの過程を具現化し、まさに国民の健康の維持に役立つものと思っております。そして、先生方お二人の今回の研究により、わが国の臨床疫学のレベルが世界的な水準にあることを確認しました。

白木先生は、多忙な臨床医あるいは開業医としての日常の診療の傍ら、診療が終わってから患者さんのデータを自ら入力されております。そしてそれらを生かすために多くの方々や企業との共同研究をされ、立派な論文を多数発表されております。白木先生の敬服すべきところは、1人の患者さんを診て全体のことを考え、逆に臨床疫学のデータを患者さんの診療に応用されているところであります。また、清原先生は、長年の緻密な観察により、国民病とも言われる生活習慣病の病因を探求されておられます。どうぞ今後とも、お二人の先生方には、疫学研究を通じて、今後ともわれわれの指導に当たっていただきたいと願います。

最後に、この素晴らしい遠山賞に関しまして、本日の資料の中に遠山先生の業績が記載されております。特に水質検査をなさったということは、公衆衛生学の基礎であります。その時代に栄養状態を改善しようとされたこと、そして予防のために健診を行われたことなど、先駆的な業績をなさっておられたことは驚異的です。どうぞ、この遠山先生の記念の賞を末長く続けていただければと念じます。以上、お祝いの言葉に代えます。

受賞者あいさつ

白木先生あいさつ遠山椿吉記念 第2回 健康予防医療賞 受賞
白木正孝

成人病診療研究所 所長

今回このように立派な賞をいただくことになり、誠に身に余る光栄であります。

一言ご挨拶申し上げます。

約20年前であります。開業しておりました父がなくなり、郷里でそのあとを継ぐことになりました。曲がりなりにも東京都の病院で専門外来を担ってまいりましたので、漠然とその専門性を生かした開業ができればいいなと考えて開業医の生活を開始いたしましたが、始めてみますとそのように甘い考えは見事に打ち砕かれました。

最も困りましたことは患者さんの行く末が全く見えないということでありました。患者さんは事の大小はありますが、自分の現状に対する不安と今後の見通しを知る事を最も重視されているように感じましたが、悲しいかな当方にはそれに答えられるような文献が自分の専門分野ですら調達できないわけです。

そんな時にデスモンド・トンプソン先生が講演され、EBMの概念を懇切丁寧に教えてくださいました。この時から患者さんへの回答に確証を与えてくれるEvidenceは自らの問題意識のもとに作って行かねばならないと思い定めました。もちろん、自分勝手なEvidenceではそれは偏見にすぎませんので、データの正確性を保証するために、幾多の人々からご助言とご指導をいただけましたことは私の最も感謝すべきことであります。

このことは後の講演におきまして明らかにしたいと思っております。そうはいいましても個人で収集できるEvidenceの量は限定的であります。そこで約10年前からその萌芽が見え始めました医師主導型研究の組織を折茂先生にお願いして作っていただき、この運営を始めました。

始めてみて驚きましたことは、全国の約600有余のご開業の先生から現在までに5000例に近い患者様の治療データがいただけたことであり、このEvidenceの収集は未だに継続しているということであります。臨床に役立つEvidenceがいかに望まれていたかの証左であるとともに、このEvidenceの収集と解析に多大な御骨折りをいただいた事務局と臨床研究支援ユニット、パブリックヘルスリサーチセンターの皆様がたに深甚なる謝意を申し述べるものであります。

このような作業を通じて、共にEvidenceを構築する友人がもてたこと、そのことによりたった一人の開業医ではないと実感できること、これこそが私の行動の最大のモチベーションであると思っております。本日は本当にありがとうございました。

 

清原先生あいさつ遠山椿吉記念 第2回 健康予防医療賞 特別記念賞 受賞
久山町研究グループ代表 清原 裕

九州大学 大学院 医学研究院 環境医学分野 教授

この度は、遠山椿吉先生が東京顕微鏡院を創設されて120周年の節目の年に遠山椿吉記念・第2回健康予防医療賞・特別記念賞を賜りまして大変光栄に存じます。久山町研究に参加した、そして現在参加しているすべての研究者を代表しまして、心より御礼申し上げます。

久山町研究は、1961年に福岡県久山町の地域住民における脳卒中の実態調査として始まりました。その後50年にわたり研究を継続する中で、研究対象疾患は脳卒中から虚血性心疾患、悪性腫瘍、認知症、慢性腎臓病、高血圧、糖尿病など生活習慣病全体に広がりました。そして2002年からわが国で初めて生活習慣病のゲノム疫学研究を立ち上げ、軌道に乗せています。この研究の最大の特徴は、不幸にして亡くなられた住民の方々を病理解剖させていただき、死因およびさまざまな疾病の有無を正確に診断していることです。この他に類を見ない研究方法が、久山町研究を精度の高い疫学研究たらしめていると思います。

この研究は50年の間に、いくつかの医学的成果を挙げてきました。久山町研究の時代の異なる集団を追跡した成果を比較し、脳卒中をはじめとする心血管病や悪性腫瘍の時代的変化とその要因を明らかにしてきました。また近年、肥満、糖尿病、脂質異常症、メタボリックシンドロームなどの代謝性疾患が心血管病の危険因子として台頭していること、そして特に糖尿病が悪性腫瘍、認知症の原因にもなっていることを報告してきました。そしてゲノム疫学研究において、脳梗塞、潰瘍性大腸炎、加齢黄斑変性症などの発症に関わる疾患感受性遺伝子を発見してきました。

このように久山町研究が発展し成果を挙げることができましたのは、最初に私ども九州大学の研究者を受け入れてくださった江口浩平久山町長から現在の久芳菊司町長まで5人の歴代町長の皆様、久山町の保健師さん方、そして町民の皆様方の献身的なご協力があったからこそです。そして長年にわたり追跡調査にご協力いただいた地元医師会の先生方のご理解とご尽力なくしては、久山町研究は存続しなかったと思います。改めて、久山町の方々、地元医師会の先生方の多大なるご支援、ご協力に心より御礼申し上げます。

疫学研究は、地味で長年にわたる努力の積み重ねが必要な研究です。今回の特別賞の受賞は、常日頃地道に久山町の疫学研究に携わっている若手研究者に希望と勇気を与え、新たに研究の意義を再認識させるものだと思います。福岡に帰りまして、久山町の皆様に受賞のご報告をし、OBを含め研究室一同と受賞の喜びを分かち合いたいと思います。

今後もわが国の生活習慣病の実態解明と予防に向けて、微力ではありますが研究室一同力を合わせて努力して参りたいと存じます。今後ともご指導・ご鞭撻のほどお願い申し上げます。

最後に、私どもの研究を選考していただいた選考委員の方々、この賞の関係各位の皆様、そして本日ご列席の皆様に心から感謝申し上げて受賞のご挨拶の結びとさせて頂きたいと存じます。本日は誠に有難うございました。

 

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