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水質検査の水道法第20条とは

トピックス : 水質検査

2017年5月9日
一般財団法人 東京顕微鏡院 食と環境の科学センター
理化学検査部 技術専門科長 今澤 剛

水道法水質検査第20条とは

 水道法(昭和32年6月15日法律第177号)は水道事業について定める法律です。その第2章「水道事業」第2節「業務」の中に「水質検査」第20条があります。水道法の第20条を抜粋します。

  1. 水道事業者は、厚生労働省令の定めるところにより、定期及び臨時の水質検査を行わなければならない。
  2. 水道事業者は、前項の規定による水質検査を行つたときは、これに関する記録を作成し、水質検査を行った日から起算して五年間、これを保存しなければならない。
  3. 水道事業者は、第一項の規定による水質検査を行うため、必要な検査施設を設けなければならない。ただし、当該水質検査を、厚生労働省令の定めるところにより、地方公共団体の機関又は厚生労働大臣の登録を受けた者に委託して行うときは、この限りでない。

 以上が第20条の条文ですが、さらに登録・欠格条項・登録基準・登録の更新・受託義務等・変更の届出・業務規程・業務の休廃止・財務諸表等の備付け及び閲覧等・適合命令・改善命令・登録の取消し等・帳簿の備付け・報告の徴収及び立入検査・公示の各条項が続きます。
 水質検査を実施するにあたっては、水質基準に係る検査方法「水質基準に関する省令の規定に基づき厚生労働大臣が定める方法」(平成15年7月25日厚生労働省告示261号)があり、基準項目(全51項目)の検査方法が定められています。
 検査実施にあっては、採水時に試薬を入れる項目〔亜硝酸態窒素:エチレンジアミン(安定剤)、金属類:硝酸(採水ビンへの付着及び沈殿防止のため)など〕、採水後12時間以内に試験をしなくてはいけない項目(一般細菌、大腸菌、pH値、味、臭気など)、採水後24時間以内(シアン、四塩化炭素硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素など)、あるいは採水後72時間以内(クロロ酢酸、ホルムアルデヒド、硬度など)に試験をしなくてはいけない項目など、各51項目それぞれについて検査方法が定められています。

定期及び臨時の水質検査とは

 定期の水質検査とは。(施行規則第15条第1項)

  1. 検査頻度
    1. 1日に1回以上:色、濁り、消毒の残留効果
    2. 1ヶ月に1回以上:水質基準の基本的項目(一般細菌、大腸菌、塩化物イオン、有機物(TOC)、pH値、味、臭気、色度、濁度の9項目)
    3. 3ヶ月に1回以上:基本的項目を除く水質基準の全項目
  2. 検査頻度の減、検査の省略:
    過去の検査の結果や水源の状況等を勘案し、状況に応じて検査頻度を減じたり、検査の実施を省略することができる。(判断フローは下記のとおり)
  3. 水の採取の場所:
    給水栓が原則(給水栓以外を可とする場合を限定)。必要に応じて水源、浄水池及び配水池における水質も検査すること(平成15年健水発第1010001号水道課長通知)

 となっています。

判断フロー

 臨時の水質検査とは。(施行規則第15条第2項)

  1. 水質基準に適合しないおそれがある場合に、水質基準の各項目に関して行うこととされ、具体的には、通知により、次のような場合に行うこととしている。
    1. 水源の水質が著しく悪化したとき
    2. 水源に異常があったとき
    3. 水源付近、給水区域及びその周辺等において消化器系感染症が流行しているとき
    4. 浄水過程に異常があったとき
    5. 配水管の大規模な工事その他水道施設が著しく汚染されたおそれがあるとき
    6. その他特に必要があると認められたとき

 となっています。

 定期の水質検査及び臨時の水質検査ともに、それぞれの条件で検査の頻度、省略の有無及び検査項目が異なります。水質検査依頼の際、判断フローで分からない時は当センターの営業部にお問い合わせ下さい。

水道法水質基準値項目(51項目)について

 水道水の水質基準は、「水道法」及びこれに基づく「水質基準に関する省令」として、定められています。「水質基準に関する省令」は昭和32年に公布され、その後数回の改正がありました。平成26年4月1日に新たに亜硝酸態窒素が加わり51項目となり、平成27年4月1日にはジクロロ酢酸及びトリクロロ酢酸の基準値の改正があり現在に至っています。今後も、検出状況の調査や国内外の最新の情報などから改正の検討が進められています。
 水質基準項目の検査項目及び基準値を下記に示します。

項目 検査項目 基準値
10項目 一般細菌 100CFU/mL以下
大腸菌 検出されないこと
硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素 10mg/L以下
塩化物イオン 200mg/L以下
有機物〔全有機炭素(TOC)の量〕 3mg/L以下
pH値 5.8~8.6
臭気 異常でないこと
異常でないこと
色度 5度以下
濁度 2度以下
重金属 5項目 鉛及びその化合物 鉛の量に関して0.01mg/L以下
亜鉛及びその化合物 亜鉛の量に関して1.0 mg/L以下
鉄及びその化合物 鉄の量に関して0.3mg/L以下
銅及びその化合物 銅の量に関して1.0mg/L以下
蒸発残留物 500mg/L以下
消毒副生成物 12項目 ジブロモクロロメタン 0.1 mg/L以下
ブロモジクロロメタン 0.03mg/L以下
ブロモホルム 0.09mg/L以下
クロロホルム 0.06mg/L以下
総トリハロメタン 0.1mg/L以下
クロロ酢酸 0.02mg/L以下
ジクロロ酢酸 0.03mg/L以下
トリクロロ酢酸 0.03mg/L以下
臭素酸 0.01mg/L以下
ホルムアルデヒド 0.08mg/L以下
シアン化物イオン及び塩化シアン シアンの量に関して0.01mg/L以下
塩素酸 0.6mg/L以下
有機化学物質 8項目 四塩化炭素 0.002mg/L以下
1,4-ジオキサン 0.05mg/L以下
ジクロロメタン 0.02mg/L以下
シス-1,2-ジクロロエチレン及びトランス-1,2-ジクロロエチレン 0.04mg/L以下
トリクロロエチレン 0.01mg/L以下
テトラクロロエチレン 0.01mg/L以下
ベンゼン 0.01mg/L以下
フェノール類 フェノールの量に換算して0.005mg/L以下
その他 14項目 カドミウム及びその化合物 カドミウムの量に関して0.003mg/L以下
水銀及びその化合物 水銀の量に関して0.0005mg/L以下
セレン及びその化合物 セレンの量に関して0.01mg/L以下
ヒ素及びその化合物 ヒ素の量に関して0.01mg/L以下
六価クロム化合物 六価クロムの量に関して0.05mg/L以下
フッ素及びその化合物 フッ素の量に関して0.8mg/L以下
ナトリウム及びその化合物 ナトリウムの量に関して200mg/L以下
マンガン及びその化合物 マンガンの量に関して0.05mg/L以下
カルシウム、マグネシウム等(硬度) 300mg/L以下
陰イオン界面活性剤 0.2mg/L以下
アルミニウム及びその化合物 アルミニウムの量に関して0.2mg/L以下
ホウ素及びその化合物 ホウ素の量に関して1.0mg/L以下
非イオン界面活性剤 0.02mg/L以下
亜硝酸態窒素 0.04mg/L以下
カビ臭 2項目 ジェオスミン 0.00001mg/L以下
2-メチルイソボルネオール 0.00001mg/L以下

表  水質基準項目の検査項目及び基準値

 基準値を見ると、同じ金属類でも水銀の0.0005mg/Lからナトリウムの200mg/Lまで、それぞれ値が異なります。では基準値はどのように算出されたのでしょう?それは食品添加物や農薬等のADI〔許容一日摂取量(Acceptable Daily Intake)〕の考え方と同じく、水道法ではTDI〔耐容一日摂取量(Tolerable Daily Intake)〕から算出されます。
 人の健康への影響には、「急性毒性(一時的に多量に摂取することによる障害)」「慢性毒性(長期間摂取することにより次第に現れる障害)」「発ガンの危険性」などがあり、それぞれについて、動物実験の結果などから、物質ごとのNOAEL〔無毒性量(No observable adverse effect level)〕が求められます。このNOAELを基に、「体重50kgの成人が1日2Lの水を飲む」という条件などから、人が生涯にわたって毎日摂取し続けたとしても、健康への悪影響がないと推定される1日当たりの摂取濃度(TDI)が求められ、さらに人と動物の種差や個体差などを勘案して、安全係数を乗じた水質基準値が厚生労働省により定められました。

おわりに

 水道法の目的は「清浄にして豊富低廉な水の供給を図りもって公衆衛生の向上と生活環境の改善に寄与することを目的とする」(水道法第1条)と定められています。当センターは水道法20条に規定する登録水質検査機関として水質検査業務を通じ、その社会的な責任を果たすべく、常に技術向上・業務改善・精度管理に取り組んで行きます。

 最後に当法人では水質検査の受託を行っております。検査料金等のお問い合わせは、当法人ホームページ「各種検査窓口のご案内」をご覧下さい。

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