遠山椿吉賞
遠山椿吉賞

遠山椿吉賞について

「遠山椿吉賞」は、一般財団法人東京顕微鏡院の創業者で初代院長である医学博士遠山椿吉の公衆衛生向上と予防医療の分野における業績を記念して、その生誕150年、没後80年となる平成20年度に創設されました。日本の公衆衛生において、人びとの危険を除き、命を守るために、先駆的かつグローバルな視点で優れた業績をあげて社会に貢献する研究を行った個人または研究グループに対し、同財団ならびに平成15年に同財団の保健医療部門を担うために設立された医療法人社団「こころとからだの元氣プラザ」(以下「両法人」)より、賞状、記念品及び賞金300万円を贈呈するものです。

表彰の対象となるのは、「遠山椿吉記念 食と環境の科学賞」と、「遠山椿吉記念 健康予防医療賞」の2部門であり、隔年で選考顕彰いたします。公募期間は4月1日から6月末日とし、遠山椿吉賞選考委員会において選考のうえ受賞候補者各1件を採択し、10月に両法人合同の経営会議の承認を経て受賞者を決定します。2月に両法人主催による授賞式・記念講演会・レセプションを開催します。

山田和江賞について

遠山椿吉賞創設の背景には、戦後10年間中断していた事業を、非常な困難を経て再建し、今日に至る一般財団法人東京顕微鏡院ならびに医療法人社団こころとからだの元氣プラザの事業と精神の礎を改めて築いた2人の経営者、故山田匡蔵元理事長と、平成26年に享年103歳で逝去された故山田和江名誉理事長・医師の存在およびその献身的貢献があることを忘れることはできません。

平成27年度より、40歳以下(応募年の4月1日現在)の遠山椿吉賞応募者に対し、優秀な研究成果を顕彰するとともに、研究の更なる発展を奨励する目的で「山田和江賞」を設け、毎年、賞状および賞金100万円を贈呈し、顕彰することとなりました。

趣旨

遠山椿吉博士の生き方 * を尊重した、公衆衛生と予防医療の顕彰制度とします。

遠山椿吉博士は、人びとの苦しみを少なくしようと、人の気付かない飲料水に着目して伝染病予防を行い、当時死者も多く社会的に重要な疾病であった脚気病原因の研究と予防に取り組み、地道に社会への貢献を追求し、教育者として技術者の育成に情熱を傾けました。『公衆衛生向上をはかる創造性』、臨床現場での『予防医療の実践』、『これからの人の育成』が、本賞の本質です。

遠山椿吉について

遠山椿吉の功績

遠山椿吉は、ロベルト・コッホ博士がツベルクリンを発表した翌1891(明治24)年、顕微鏡による肺病早期診断の必要性を痛感し、1台の顕微鏡から東京顕微鏡院を立ち上げました。椿吉は臨床検査、飲料水の検査、顕微鏡技術者養成、顕微鏡検定、学会誌発行など事業を展開するとともに、当時最大の脅威であった感染症予防のため一般大衆への啓発活動に努めたのです。

また、1903(明治36)年東京市衛生試験所初代所長を兼任し、細菌学者として行政に深くかかわり、東京にいち早く安全な水道水の供給を実現して、日本の公衆衛生の発展に寄与しました。当時、全国レベルの「水道水質試験方法」統一を主唱していた遠山椿吉東京衛生試験所長が、翌明治37年「上水試験方法統一のための協議会」を開催したのが、現在の社団法人日本水道協会の始まりです。 さらに、欧州先進国の予防医療の概念を紹介して明治40年には健康診査を提唱、実践し、研究者としては、当時毎年数千名を超える死者もあった脚気病原因の研究と治療薬開発を遂げました。36年間かけて事業基盤を築いた後、東京顕微鏡院を財団法人と成した翌年他界しますが、その創業の精神は今日に受け継がれています。

遠山椿吉とその時代

東京歯科医学院(後の東京歯科大学)は、当時遠山椿吉と親交のあった歯科医、血脇守之助によって、明治33年2月1日神田小川町の東京顕微鏡院内に誕生しました。

また、後に『庭園と衛生』を著す椿吉は華道にも優れ、明治41年にロベルト・コッホ博士来日の折は「生花の会」を催して、北里柴三郎博士と共にひと時を過ごしています。

遠山 椿吉

遠山 椿吉(とおやま ちんきち)
1857.10.1~1928.10.1 医学博士

遠山椿吉は、1857(安政4)年山形県に生まれ、東京大学において別課医学を修め、山形県医学校で教頭を務めた後、再び上京し、東京医科大学撰科で衛生学と黴菌学を研究し、帝国医科大学国家医学科を卒業しました。

1891(明治24)年東京顕微鏡院を設立し、二千余名に及ぶ医療技術者の養成、医学検査の実践普及、細菌学や脚気の研究、学会誌発行、健康診査、衛生思想普及活動な どを推進。そのかたわら、東京慈恵医院医学校講師、東京市衛生試験所長などの職を兼ね、公衆衛生の発展に寄与しました。

医事衛生分野における多数の著書がありますが、最晩年には、「さちのために」「人生の意義と道徳の淵源」など思想書を著し、華道や朝顔作りなど多彩な趣味を持ち、和歌に数多くの作を遺しています。

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