食品の機能性表示が可能に

2015年7月1日
一般財団法人東京顕微鏡院 食と環境の科学センター
食品理化学検査部 技術専門科長 水野 竹美

平成27年4月1日に施行された新しい食品表示法に、新たな機能性表示制度が創設され、生鮮食品を含むほとんどの食品に、健康の維持および増進に役立つ食品の機能性に関する情報を商品パッケージに表示することが可能となりました。

これまで機能性を表示することができる食品は、国が個別に許可した特定保健用食品(トクホ)と国の規格基準に適合した栄養機能食品に限られていました。

一方この新しい制度は、消費者庁長官に届け出た安全性や機能性に関する一定の科学的根拠に基づき、事業者の責任において表示を行うもので、届け出た科学的根拠は消費者庁のウェブサイト等に公開されます。

事業者は、これらの情報を商品の販売日の60日前までに届け出る必要があり、安全性や機能性の科学的根拠は、国の定めた一定のルールに基づいて評価が行われます。消費者は商品のパッケージに記載された届け出番号により詳細な情報をウェブサイトで確認することができます。

この制度の導入により健康食品市場が活性化し、膨らむ医療費の抑制につながると期待されています。これまでは食品に機能性を表示するために膨大な費用と時間がかかっていましたが、新制度により食品をスピーディーに商品化することが可能となりました。

また、消費者はパッケージに機能性がわかりやすく表示された商品を見極めて購入できるようになり、必要に応じてウェブサイト等から正しい情報を得ることができます。機能性がラベルに表示された商品が市場に出はじめ、ニュースで取り上げられるなど、最近話題になっている制度です。

機能性表示ができる保健機能食品






特定保健機能食品
(トクホ)
健康の維持増進に役立つことが科学的根拠に基づいて認められ、「コレステロールの吸収を抑える」等の表示が許可されている。表示の効果や安全性は国が審査し、食品ごとに消費者庁長官が許可している。
栄養機能食品 一日に必要な栄養成分(ビタミン、ミネラルなど)の補給・補完のために利用できる。科学的根拠が確認された栄養成分を一定の基準量含む場合、届出をせずに国が定めた表現によって機能性を表示可。
機能性表示食品

事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品。販売前に安全性及び機能性の根拠に関する情報等について、消費者庁長官へ届け出が行われる。
消費者庁長官の個別の許可を受けたものではない。

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